受付時間 10:00–12:30/14:00–17:30 休診日 木曜・日曜午後・祝日

IMPLANT OVERDENTURE

インプラント2本で固定する入れ歯

「上の入れ歯は問題ないのに、下だけが浮いてくる」——これは、あなたの慣れが足りないからでも、入れ歯の作り方が悪いからでもない場合があります。下顎という骨の形そのものに理由があります。この記事では、その理由と、インプラントを2本だけ使って解決する方法について、費用とリスクを含めてご説明します。

ナカノ歯科医院(仙台市太白区茂庭)監修:院長・歯科医師自由診療

はじめに ─ 結論から

下の総入れ歯が動く・外れるという悩みは、入れ歯の調整だけでは解決しきれないことがあります。顎の骨がやせて土手が平らになっている場合、入れ歯が乗る場所そのものが失われているためです。

その場合の方法のひとつが、顎の骨にインプラントを2本だけ埋め、その上に入れ歯を留めるやり方です。入れ歯は今までどおり取り外して洗えます。国際的には、下顎の総入れ歯に対する第一選択の治療として位置づけられています。

当院では、下顎のインプラント2本と片顎の入れ歯を合わせて600,000円(税込)で行っています。検査・診断から装着後の調整、装着から5年間の定期メンテナンスまでを含んだ金額です。

なお、合わない入れ歯を我慢して使い続けると、顎の骨の吸収は早まります。治療を受けるかどうかは別として、いまの状態を一度確認しておくことには意味があります。

ただし、すべての方に適応できる治療ではありません。骨の状態や全身の状態によってはお勧めしない場合があります。その場合に何をご提案するのかも、この記事の後半に書いています。

よくある3つの誤解

入れ歯が合わないのは、作り方が下手だから

作り方や調整で改善できる部分は確かにあります。しかし、歯を失ってから年数が経つほど、顎の骨は少しずつ痩せていきます。骨が平らになってしまえば、どれほど精密に作っても、入れ歯が引っかかる場所がありません。技術の問題ではなく、土台の条件の問題であることがあります。

インプラントは何本も入れないといけない

すべての歯をインプラントで置き換える方法もありますが、入れ歯を安定させることが目的であれば、下顎では2本で足ります。入れ歯の前方をしっかり固定できれば、後方は今までどおり歯ぐきが支えるという考え方です。

もう歳だからインプラントは無理だろう

年齢そのものが可否を決める条件ではありません。判断の材料になるのは、骨の状態と、糖尿病などの全身の状態、服用中のお薬です。80代の方が受けられる場合もあれば、60代でもお勧めしない場合もあります。まずは診査をしてみないと分かりません。

なぜ下の入れ歯だけが動くのか

「上は大丈夫なのに、下だけどうしても浮いてくる」——非常に多くいただくご相談です。これには、はっきりした理由が3つあります。

原因 01

顎の骨がやせていく(顎堤吸収)

歯は、噛む力を骨に伝えることで骨を維持しています。歯を失うと、その刺激がなくなり、支えていた骨は使われないものとして吸収されていきます。特に抜歯後の3〜6ヶ月で、土手の高さと幅が大きく減少します。そのまま年月が経つと、土手はさらに低く、平らになっていきます。

合わない入れ歯を使い続けると、骨の吸収は早まります

  • 合っていない入れ歯は、噛むたびに歯ぐきの一部だけを強く圧迫します。その結果、骨の吸収がさらに進み、土手の平坦化が顕著になります。
  • 「合わないけれど、我慢して使う」という選択には、骨が減っていくという代償があります。
  • 土手が平らになるほど、入れ歯もインプラントも、選べる方法が狭まっていきます。早めにご相談いただきたいのは、このためです。
原因 02

下顎は、そもそも面積が小さい

上の入れ歯は、上あごの天井(口蓋)という広い面で吸い付きます。ところが下顎には馬蹄形の細い土手しかなく、吸着に使える面積が圧倒的に小さい。上の入れ歯は使えるのに下だけ外れるという方が多いのは、この構造の違いによるものです。

原因 03

舌と口の周りの筋肉が、絶えず入れ歯を押している

舌は話すときも飲み込むときも動き続けており、下の入れ歯を内側から持ち上げます。頬や唇の筋肉も外側から押します。上下から挟まれた狭い場所に、入れ歯は置かれています。

このうち01と02は、入れ歯の調整では変えられない条件です。だからこそ「支えを別に作る」という発想が出てきます。それがインプラント義歯です。

インプラント義歯という方法

顎の骨にインプラントを2本埋め込み、その2本を金属のバーで連結します。入れ歯の内側にはこのバーを受ける留め具が組み込まれており、入れ歯をはめるとカチッと固定され、噛んでも浮き上がりません。この方式をバーアタッチメントといいます。

2本を1本のバーでつなぐことに意味があります。連結することで噛む力が2本に分散され、インプラント1本あたりの負担が軽くなります。また、点ではなく「線」で支えるため、入れ歯が回転しにくくなります。

ご自身で取り外して洗えます。総入れ歯であることに変わりはなく、就寝時に外す・毎日清掃するという扱い方も、これまでと同じです。「入れ歯をやめてインプラントにする」のではなく、「入れ歯を固定するためにインプラントを使う」治療だとお考えください。

治療の4つのステップ

段階内容
1. インプラントの埋入顎の骨にインプラントを2本埋入します
2. アバットメントの装着インプラントの上に支台(アバットメント)を装着します
3. バーの装着2本のアバットメントにバーを装着し、固定します
4. 義歯の装着入れ歯をバーにはめ込みます。取り外しが可能です

入れ歯を固定すると何が変わるか

ただし、どの程度改善するかは、もともとの骨の状態や、お口全体の状態によって異なります。すべての方が同じ結果になるわけではありません。

なぜ2本で足りるのか

下顎の前歯のあたりには、オトガイ孔という、神経と血管が骨から出てくる出口が左右に一つずつあります。この2つの出口に挟まれた領域は、骨が比較的残りやすく、大きな神経を避けやすい部位です。

ここにインプラントを2本入れることで、入れ歯の前方がしっかり固定されます。後方は今までどおり歯ぐきが支える。前が動かなければ、入れ歯全体の安定は大きく変わります。

国際的な位置づけ

2002年、カナダのマギル大学で開かれた国際会議において、下顎の総入れ歯に対しては「インプラント2本によるオーバーデンチャーを第一選択の標準治療とすべきである」という合意が示されました(McGill Consensus Statement on Overdentures, 2002)。2009年に英国ヨーク大学で開かれた会議でも、同様の見解が確認されています(York Consensus Statement, 2009)。

つまりこれは、特別な治療でも、新しく試されている治療でもありません。下顎の総入れ歯でお困りの方にとって、世界的には標準的な選択肢のひとつとして位置づけられているものです。

3つの選択肢を比べる

下顎の総入れ歯でお困りの場合、実際に検討していただくのは次の3つです。

 保険の入れ歯自費の入れ歯インプラント義歯
固定のしかた歯ぐきに乗せる歯ぐきに乗せるインプラント2本で留める
動きにくさ骨の状態に左右される適合精度は高いが、骨の条件は変えられない骨の条件に左右されにくい
厚み・違和感樹脂のため厚い金属床で薄く作れる金属床で薄く作れる
手術なしなしあり
治療期間約1〜2か月約1〜2か月約5〜8か月
費用(税込)保険適用160,000円1床あたり600,000円下顎2本+片顎

どれが良いかは、骨の状態・全身の状態・生活の中で何を優先されるかによって変わります。手術を伴わない方法で十分に改善が見込める場合は、そちらをご提案します。インプラントが常に最善というわけではありません。

当院での進め方と診断

初回は、お話をうかがうことから始めます。いま何にお困りなのか、いつからなのか、これまでどのような治療を受けてこられたのか。その上で、次の検査を行います。

画像診断について 当院では、パノラマX線撮影と模型分析による診断を行っています。より詳細な三次元的評価が必要と判断した場合には、CT撮影が可能な医療機関をご紹介した上で、その結果をもとに治療計画を立てます。また、当院での対応が適切でないと判断した場合には、専門的な医療機関をご紹介します。ご紹介になる可能性があることも含めて、事前にご説明いたします。

検査結果は、模型と画像をお見せしながらご説明します。この日に治療を決めていただく必要はありません。費用を含めた治療計画は書面でお渡ししますので、ご家族と相談してから改めてお返事いただければ結構です。

この治療をお勧めしない場合

次のような場合には、インプラント義歯をお勧めしていません。

この場合は、金属床を用いた自費の入れ歯など、手術を伴わない方法をご提案します。骨の条件が厳しい方でも、入れ歯の設計と精度で改善できる部分は少なくありません。

当院は、できることとできないことの線を、あらかじめはっきりさせておく方針を取っています。診査の結果、当院ではお引き受けしないという判断になることもあります。その場合は理由をご説明し、必要に応じて他の医療機関をご紹介します。

治療期間と通院回数

段階内容回数
診査・診断問診、口腔内診査、X線撮影、型取り、治療計画のご説明1〜2回
前処置必要に応じて歯周治療、抜歯など0〜4回
手術インプラント2本の埋入1回
治癒期間骨とインプラントが結合するのを待ちます(通院は経過観察のみ)約3〜6か月
入れ歯の製作型取り、噛み合わせの記録、試適3〜5回
装着・調整アタッチメント装着、噛み合わせの調整2〜4回
合計治療期間 約5〜8か月約8〜12回

※ お口の状態、前処置の必要性、治癒の経過によって、期間・回数は前後します。治療開始前に、あなたの場合の見込みを書面でお示しします。

費用

治療内容費用(税込)
インプラント義歯(下顎インプラント2本+片顎の入れ歯)600,000円
インプラント義歯(下顎インプラント2本+上下の入れ歯)760,000円
義歯定額満足パッケージ(部分入れ歯、または上顎・下顎どちらか)160,000円
義歯定額満足パッケージ(上下セット)320,000円
インプラント(1本あたり/欠損部の補綴)270,000円

費用に含まれるもの

治療の途中で追加の費用が発生しない金額です。ただし、治療開始前に必要と判断した前処置(歯周治療、抜歯など)は別途となります。その内容と費用も、治療開始前に書面でお示しします。

メンテナンス費用について 装着から5年間、この治療に関わる定期メンテナンス(1〜3ヶ月ごと)は治療費に含まれています。ただし、上顎の入れ歯や残っている歯など、お口の他の部分の治療・管理を同時に行う場合は、その分のお支払いが生じます。ご負担額は、上の歯がご自身の歯なのか、入れ歯なのか、その入れ歯がどのようなものかによって変わります。目安としては1回あたり1,000円程度かそれ以下ですが、あなたの場合の見込みは、治療計画とあわせて書面でお示しします。5年を過ぎた後も、同程度のご負担でメンテナンスを継続していただけます。なお、留め具の部品交換など、部品そのものの費用が必要になった場合は別途となります。
お支払い・医療費控除について 自費診療にかかった費用は、医療費控除の対象となります。確定申告に必要な領収書は保管をお願いします。デンタルローンによる分割払いもご利用いただけます。月々のお支払い例をお示しできますので、カウンセリングの際にお申し付けください。

定額制のしくみを詳しく読む

まずはご予約ください

ご相談の日に治療を始めることはありません。いまの状態を確認し、選択肢と費用を書面でお示しするところまでです。

LINEで予約する 24時間いつでもお申し込みいただけます。
  • STEP 01上のボタンから友だち追加
    ※パソコンの方は下の二次元コードを読み取ってください
  • STEP 02トーク画面のメニューから予約に進む
  • STEP 03診療内容とご希望の日時を選択
  • STEP 04お名前などを入力して予約完了

ご相談・ご質問はお電話でどうぞ。
LINEはご予約専用のため、メッセージへの個別のお返事はできません。
022-281-1311
お問い合わせ受付 10:00〜18:00/休診日 木曜・日曜午後・祝日

主なリスク・副作用

外科手術を伴う治療です。次のリスクがあることを、必ずご理解いただいた上で判断してください。

手術に伴うもの

  • 術後に腫れ、内出血、痛みが生じることがあります。通常は数日から1週間程度で落ち着きます。
  • 血管や神経を損傷する可能性があります。下顎の前歯部では、まれに舌側の血管を傷つけることにより、口の底の部分に出血や腫れを生じることがあります。頻度は低いものの、生じた場合には緊急の対応が必要です。
  • 術後に感染を起こすことがあります。

インプラントに関するもの

  • 埋入したインプラントが骨と結合せず、除去が必要になる場合があります。
  • 装着後に清掃が不十分だと、インプラント周囲炎を起こし、支えている骨が失われることがあります。これを防ぐため、1〜3ヶ月ごとのメンテナンスが必須です。
  • 喫煙、糖尿病などの全身疾患、歯ぎしり・食いしばりの習慣がある場合、成功率が低下することが知られています。

バー・入れ歯に関するもの

  • バーと歯ぐきの間には汚れがたまりやすく、清掃が不十分だと歯ぐきが腫れたり、増殖したりすることがあります。専用の清掃用具を使った毎日のお手入れが必要です。
  • バーを固定しているネジが緩むことがあります。定期検診で確認し、必要に応じて締め直します。
  • 入れ歯の内側の留め具は使用により摩耗するため、定期的な交換が必要です。
  • 入れ歯は破損することがあります。また、顎の骨の変化に伴い、経過とともに調整や作り直しが必要になる場合があります。
  • 定期的なメンテナンスを受けられない場合、長期的な安定は得られません。

これらのリスクについては、治療開始前に書面でご説明し、ご同意をいただいた上で進めます。ご不安な点は、どれだけ細かいことでも遠慮なくお尋ねください。

よくあるご質問

Q.手術は痛いですか。入院は必要ですか。

A.局所麻酔で行いますので、手術中の痛みはほとんどありません。入院は必要なく、日帰りで受けていただけます。術後に痛みが出た場合は、お渡しする鎮痛薬で対応していただきます。

Q.何歳まで受けられますか。

A.年齢の上限は設けていません。判断の材料になるのは、骨の状態、全身の状態、服用中のお薬です。まずは診査をさせてください。

Q.いま使っている入れ歯を、そのまま固定できませんか。

A.現在の入れ歯の状態によっては、留め具を組み込んで使用できる場合もあります。ただし多くの場合、しっかり固定するには入れ歯を作り直したほうが結果が安定します。診査の際に判断してご説明します。

Q.手術した日から噛めるようになりますか。

A.いいえ。インプラントが骨と結合するまで、約3〜6ヶ月お待ちいただきます。その間は、今お使いの入れ歯を調整してお使いいただきます。食事ができない期間があるわけではありません。

Q.バーの周りの掃除は難しくありませんか。

A.通常の歯ブラシに加えて、バーの下を通す専用のフロスや歯間ブラシを使っていただきます。最初は戸惑われる方が多いので、装着の際に実際にやってみていただきながらお教えします。ここを続けていただけるかどうかが長期の結果を左右しますので、うまくできないときは遠慮なくご相談ください。

Q.メンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか。

A.1〜3ヶ月ごとの通院をお願いしています。インプラント周囲の清掃、バーとネジの確認、留め具の摩耗の確認、噛み合わせの確認を行います。一般的な歯科検診より頻度が高いと感じられるかもしれませんが、インプラント周囲炎は自覚症状が出にくく、気づいたときには骨が失われていることがあるためです。

Q.5年を過ぎたら、費用はどのくらいかかりますか。

A.メンテナンス1回あたりのご負担は1,000円程度かそれ以下で、5年を過ぎたとたんに負担が大きくなることはありません。ただし金額は、上の歯がご自身の歯か入れ歯かなど、お口全体の状態によって変わります。5年以内であっても、他の部分の治療・管理を同時に行えばその分のお支払いが生じますので、「5年間は一切かからない」ということではありません。あなたの場合の見込みは、治療開始前に書面でお示しします。

Q.上の入れ歯にも同じ方法が使えますか。

A.上顎にも同様の方法はありますが、上顎は骨の性質や上顎洞との位置関係から、下顎とは条件が異なります。また、上の入れ歯はもともと吸着しやすいため、下顎ほど必要になる方は多くありません。診査の上でご説明します。

Q.相談だけでもかまいませんか。

A.もちろんです。ご相談の日に治療を始めることはありません。他院で治療を勧められて迷っている、という段階でのご相談も承っています。

本ページに記載の治療について

インプラント義歯(インプラントオーバーデンチャー)および自費の入れ歯は、自由診療です。保険診療との併用はできません。

費用はすべて税込表示です。治療期間・通院回数は目安であり、お口の状態により前後します。主なリスク・副作用については本文中に記載しています。

本ページで参照した文献:

  • Feine JS, et al. The McGill Consensus Statement on Overdentures. Int J Prosthodont. 2002;15(4):413-414.
  • Thomason JM, et al. Mandibular two implant-supported overdentures as the first choice standard of care for edentulous patients — the York Consensus Statement. Br Dent J. 2009;207(4):185-186.

ナカノ歯科医院(宮城県仙台市太白区茂庭)/監修:院長・歯科医師

まずはご相談ください

相談だけで結構です。その日に治療は行いません。
いまお使いの入れ歯をお持ちいただけると、より具体的にお話しできます。

アクセス LINE予約 電話